大切な財産を大切な人へ確実に遺すためにできること
遺言書は正しく作成しなければ「無効」になってしまいます。
遺言書が無効になると、相続人は「法定相続分」に従って遺産を分けることになります。「法律に基づいて分けるのではあれば、遺言が無くても揉めることはないのでは?」と思われるかもしれません。
しかし、実際には、①法律上、寄与分・特別受益といったもので取り分が変わること、②不動産や非上場株式など価値が明確でないものについて価額について争いが生じること、③兄弟間で「他の兄弟が遺産を隠している可能性がある。」などとして争いになることがあること、などから遺言がないと揉めることがあります。
遺言を作成することで、これらの紛争を予防することができます。
遺言では、以下のようなことが可能です。
遺産の相続指定
➡遺言の最も基本的な性質で、遺産の分け方を指定することができます。
※ 但し、相続人に認められた最低限の相続分である「遺留分」を侵害すると、後で多くもらい過ぎた人が金銭の請求をされる可能性があります。
相続人以外の人に財産を残す
➡内縁、長男の妻、養子縁組してない連れ子等に財産を相続させることができます。
行方の分からない相続人がいる場合などに単独で不動産の名義変更等を可能にする
➡遺言がない場合、原則として、相続人全員で遺産分割協議を行う必要があり,遺産分割協議書がないと法的手続を経ないと不動産の名義変更等ができません。遺言書を作成しておけば、遺言書をもって不動産の名義変更が可能になります。
遺言執行者の指定
➡遺言実現に必要な手続を第三者の立場で実行する人物を指定する
※遺言執行者とは,遺言書を書いた本人(遺言者)が亡くなった後に遺言書の内容に
従って,実際に財産の分配行為を取り仕切る者です。
遺言書は・自筆証書遺言・公正証書遺言・秘密証書遺言の3つに分けられます。
それぞれの証書作成にあたり留意すべき点を見ていきましょう!
自筆証書遺言
☆遺言者自らが記入し,日付,署名,押印する遺言書
・不備により遺書が無効になる可能性がある
・全文,自らの手で作成しなければならない
※ 法改正により、現在は遺産の目録についてはパソコンで作成することも可能です(但し、署名押印は必要です。)。
・被相続人が亡くなった後,家庭裁判所の検認が必要である
・紛失偽造変造の恐れあり
公正証書遺言
☆2人以上の証人立ち合いのもと,公証人役場で作成する遺言書
・公証役場への手数料がかかる
・家庭裁判所の検認が不要である
秘密証書遺言
☆事前に作成して封印した遺言書を公証役場へ持参し,公証人,証人によって作成する遺言書
・公証役場への手数料がかかる
・家庭裁判所の検認が必要である
・不備により遺書が無効になるリスクがある
※ 実務上、あまり使われていない。
自らの意思を遺った家族へ確実に伝え,実際に相続してもらうために,専門家へ相談し,あなただけのオリジナルな遺言書を作成しましょう。