戸籍について弁護士が解説
相続手続を進めるうえで必ず必要となるのが戸籍の収集です。自分の戸籍だけであればすぐに取得できますが、被相続人や他の相続人のものまで全て揃えるとなると時間と手間がかかります。ここでは戸籍について説明します。
(1)戸籍とは
戸籍とは、日本国民の出生から死亡までの身分事項(出生・死亡・結婚・離婚等)を公の帳簿に記録し、これを証明するものです。日本の戸籍は「1組の夫婦と氏が同じ未婚の子ども」をひとつの単位として編成し、本籍地の各市町村で戸籍簿が管理されています。
・戸籍の種類
◎現在戸籍⇒現在も在籍している人がいて使用されている戸籍。
一般的に「戸籍」というと現在戸籍を指します。
◎除籍⇒在籍している人が全員いなくなった戸籍。
夫婦の離婚・子供の結婚・死亡・本籍地の変更などの事由により人が戸籍から抜けていき、最終的に戸籍を構成する人が誰もいなくなった戸籍のことを除籍と呼びます。
なお、戸籍から外れるという意味でも「除籍」という言葉を使います。
◎改製原戸籍・・・法改正によって戸籍を作り直す際に、もとになった戸籍。
明治19年、明治31年、大正4年、昭和23年、平成6年に大きな法改正が行われ、何度も様式変更がされています。
中でも昭和23年の改正では、これまで孫・甥・姪なども含めた一族全員が同じ戸籍に入っていたのを、現行の「1組の夫婦と氏が同じ未婚の子ども」を1単位とするようになりました。昔の戸籍にやたら人が多いのはこのためです。
(2)戸籍の集め方
戸籍簿を管理している各市町村に申請書を送付し請求します。定額小為替・返信用封筒・本人確認書類等の書類を添付する必要があります。手数料や必要書類は各市町村で異なるため、ホームページをよく確認することが必要です。取得には請求から1週間~10日程度かかることが多いため、余裕をもって申請しましょう。
戸籍は一番新しいものから遡って取得していくのがスムーズです。被相続人が何度も転籍をしている場合は、多数の市町村に除籍・原戸籍が保管されていることになりますから、根気強く集めていく必要があります。
(3)被相続人の出生から死亡までの戸籍
遺産分割手続においては、原則として、被相続人の出生から死亡までの戸籍を全て揃えることが必要です。
・ なぜ出生から死亡まで必要なの?
被相続人と相続人の関係が分かる部分の戸籍だけあれば良いのでは?と思われる方もいるかもしれませんが、実は新たな戸籍が作られる時、全ての情報が移記されるわけではありません。例えば、古い戸籍で除籍になっている人や、認知をした婚外子の情報、離婚の事実等は新しい戸籍に記載されません。つまり、被相続人には自分が知らない相続人がいる可能性があるのです。そのため、相続人を確定するには被相続人の出生から死亡まで全ての戸籍を見て、他に相続人がいないか調査する必要があるのです。
(4)戸籍の収集は弁護士に依頼しよう!
ここまで説明したように戸籍には様々な様式があるうえ、昔の戸籍は手書きのため判読に苦労することも多い上、記載事項の読解力も求められます。また、基本的に、被相続人が小さいお子さんでなければ、戸籍は複数枚にわたり存在することがほとんどですから、相続関係者全員の必要戸籍を取得するには大変手間がかかります。
弁護士に遺産分割などの相続手続を依頼すれば、戸籍収集から遺産分割手続までワンストップで対応してくれます。 戸籍は自身で集めることも可能ではありますが、相続放棄など期限が定められている相続手続もありますので注意が必要です。