特別代理人の選任申立により解決した事例
依頼のきっかけ
依頼者は賃貸アパートの所有者でした。その一室を借りていた方が亡くなり,その方が生前所有していた自動車が駐車場に停まったままになっていることで,入居者の募集をかけられないというご事情から,当事務所にご相談の話がありました。
事件終結までの流れ
その亡くなった方(以下「被相続人」といいます。)の相続人を調査したところ,相続人に該当する方が数名いらっしゃることが判明致しました。そこで,まずは,その方々にご連絡差し上げ,自動車を廃棄処分させてもらえないかと交渉を致しました。
しかし,いずれの方々も被相続人とは疎遠になっていらっしゃるということで,相続放棄の手続をするということでした。それにより,被相続人の相続人は存在しないという状況になりました。
そこで,駐車場の返還請求訴訟を提起するとともに,特別代理人選任申立てをし,訴訟の中で解決を図ることにしました。
依頼者の意向は,とにかく自動車を駐車場から撤去することにありました。依頼者が自由に自動車を処分することができるようにするためには,依頼者が自動車の所有者になる必要がありました。ちょうど,訴訟を提起するまでに未払賃料ないしは賃料相当損害金が相当額発生しておりましたので,この債務の弁済に代えて,自動車を譲渡するという内容で和解を進められないかと考えました。
その案を裁判所及び特別代理人に提案したところ,自動車の所有権を依頼者に譲渡する代わりに,未払賃料債務を免除するという内容で裁判上の和解が成立し,解決に至りました。
弁護士の目
特別代理人が選任されても,当然には和解をする権限は認められておらず,受訴裁判所からの権限付与が必要とされます。裁判所が授権を認めてくれたのは,上記内容で和解を成立させても利害関係人を含め不利益を被る者の存在が想定されず,むしろ一回的な解決が図れるため訴訟経済にも質するというこちらの主張を理解してくれたことにあると思われます。
交渉を含めると短期で解決を図れた事案ではありませんでしたが,訴訟だけを見ると2回の期日で解決に至った事案でした。理論的には相続財産管理人選任申立を行う方法も考えられましたが,手続にまた時間がかかることを踏まえて,特別代理人選任申立の手続を選択しましたが,結果的に見ても本件では適切な解決手段であったという感想です。
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