面識のない相続人がいる場合の遺産分割
1 相続人を確定する
被相続人が死亡して,相続が発生した場合に,真っ先にやらなければならないことは相続人を確定することです。
通常,戸籍など調べなくても,相続人を確定することは難しいことではありませんが,被相続人が相続人に養子縁組していることを言っていなかったり,前妻もしくは前夫との間に子供がいることを言っていなかった場合には,相続人を確定することが困難です。
そこで,遺産分割協議を行うために,当事務所で,一番最初に行うことは,被相続人の出生から死亡時までの戸籍を取得することです。そこから,更に戸籍を辿って相続人を確定しなければならないこともあります。
そうして,相続人を確定した結果,被相続人に養子縁組していた子供がいたり,前妻もしくは前夫との間に子供がいたりした場合には,今まで会ったことも話したこともない人と遺産分割協議を行う必要が出てきます。
2 相続人へ連絡する
今まで会ったことも話したこともない相続人と遺産分割協議を行うためには,まず,その相続人に連絡を取らなければなりません。
しかし,会ったことも話したこともない相続人ですから,当然,電話番号やメールアドレスなど分かりません。
そこで,どのような方法が考えられるかと言うと,戸籍の附票を取得して,住所を特定して,手紙を送付することが一般的です。
もっとも,手紙の内容次第では,会ったことも話したこともない相続人から不信感や怒りを買い,円滑に進む予定であった遺産分割協議がとん挫してしまうこともあり得ます。
その点,当事務所にご依頼されたケースでは,相続人に対する連絡は,比較的円滑に行うことができていると思います。
3 その後の手続
相続人全員と連絡が取れ,遺産の分割方法について,相続人全員と合意できた場合,遺産分割協議書を作成することになります。
しかし,遺産の分割方法について,相続人の一人でも反対した場合には,遺産分割協議書を作成することできず,家庭裁判所に遺産分割調停を申立てることになります。
4 まとめ
戸籍を調査した結果,今まで会ったことも話したこともない相続人がいることが分かった場合には,連絡を取ることすら抵抗がある方もいらっしゃると思いますし,連絡を取るとしても,連絡の仕方次第で,相手方の不信感や怒りを買うこともありますので,知り合い同士の遺産分割とは異なり,注意が必要です。
したがいまして,今まで会ったことも話したこともない相続人がいることが分かった場合には,遺産分割協議を円滑に進めるためにも,早い段階で当事務所にご相談いただければと思います。