親の相続 長男が優遇されるのか?
1 はじめに
多くの方が経験される親の相続について、「親の相続で長男が優遇されるのか」という点を解説いたします。
2 旧民法では、長男が優遇されていた
1898年(明治31年)に制定された旧民法では、家長権と家の財産を嫡男長子(=長男)に単独承継させるという内容になっていました。つまり、旧民法下では、相続が発生した場合、長男が優先されることが法律上認められていたのです。
3 現在の法制度は?
1947年(昭和22年)の民法改正で、家督相続の制度は廃止され、法定相続人が平等に相続することができる制度に改められました。
現在の民法887条1項では、「被相続人の子は、相続人となる」と規定され、その相続分(法定相続分)は、「子、…が数人あるときは、各自の相続分は、相等しいものとする。」(民法900条4号)とされていることから、兄弟姉妹間での相続分は、平等であるといえます。ですので、現行法上、親の相続で、長男が優遇されることはありません。
4 単独相続する場合は?
長男に限らず、複数いる相続人のうちの一人が相続する場合もあります。
- 1人の相続人以外の相続人全員が相続放棄をした場合
- 遺産分割協議で単独相続させることを定めた場合
これらの場合には、単独相続が可能です。
5 最後に
親の相続において、兄弟姉妹は平等です。兄弟姉妹間で揉めないためにも、この認識を兄弟姉妹間で共有しておくことが大切になります。