養子は誰の相続人?
養子縁組には、「特別養子縁組」(民法817条の2以下)と「普通養子縁組」(民法792条以下)があります。特別養子縁組の場合には、実親子間の関係は断絶するので、通常の相続と同様に考えれば問題ありません。しかし、普通養子縁組の場合は、実親子関係は継続することから、相続の範囲が分かりにくくなります。そこで、普通養子縁組をした養子の相続の範囲について解説します。
1 普通養子縁組とは
養子縁組とは、養親と養子の間に親子関係を作り出す制度です。普通養子縁組は、特別養子縁組とは異なり、実親やその血族との間の親族関係は存続します。これは、実親やその血族との間に親族関係を存続させておくことは、子の福祉によって有益なことが多いという考え方に基づくものです。
一方、民法809条で、「養子は、縁組の日から、養親の嫡出子の身分を取得する」と規定されていることから、普通養子縁組をすると、養子は、養親の嫡出子として扱われることになります。そうすると、普通養子縁組をした養子は、実親の子であり、養親の子となるのです。
2 養子の相続の範囲と相続分は?
前述のとおり、普通養子縁組の場合、実親子間の親子関係は断絶しません。ですので、実親が亡くなった場合、養子になっていたとしても実子は相続人です。例えば、実父が亡くなり、実母と実子1名が相続人となった場合には、実子の相続分は2分の1ということになります(民法900条1号)。
また、養親子間でも、養子は嫡出子として扱われます。そうすると、養親が亡くなった場合、実子と同じように相続人となります。例えば、養親が亡くなり、養親の実子1名と養子1名が相続人となった場合には、養子の相続分は2分の1となります(民法900条4号本文)。
このように、普通養子縁組の場合には、養子は、実親の子であり、養親の子であることから、実親の相続人にも養親の相続人にもなれるということです。
3 最後に
普通養子縁組の場合、養子は実親子間での相続においても、養親子間での相続においても相続人となります。通常の相続の範囲とは異なるので、注意しましょう。