面識のない相続人に対し弁護士が調査を行い調停を行い遺産分割が成立した事例
1 事案の概要
ご依頼者様は,被相続人である父親が亡くなった後,父親名義の不動産の名義変更をご自身に行おうとしていました。
そこで,相続登記に必要な戸籍書類等を集めている中で,父親と母親は再婚であったこと,父親と前妻との間に,子どもがいたこと,つまりご依頼者様とは半分血のつながった兄弟(専門用語で「半血兄妹」と言います。)がいることが判明しました。
遺産である不動産の名義を変更するためには,当該半血兄弟の同意や協力が必要なのですが,ご依頼者さまと当該兄弟とはこれまで交流もなく,所在すら不明であったため,どうしたらよいのかと,当事務所にご相談に来られました。
2 解決までの道のり
ご依頼を受けた弁護士は,まず速やかにお相手になるご兄弟の住所等の調査を行いました。
その結果,お相手のご兄弟の住所が判明したことから,ご協力をお願いするお手紙を我々からご送付したところ,相手方のご兄弟は,認知症を発症しており,別の弁護士が成年後見人に就任していることが判明しました。
成年後見人とは,認知症などで判断能力を失ってしまった人の保護を目的に,その財産管理をサポートするため,家庭裁判所任命される役職で,この成年後見人が本人に代わって遺産分割協議等に参加することになります。
本件では,相手方の成年後見人から裁判所での遺産分割調停の中で取り決めたいとの意向が示されたことから,家庭裁判所に遺産分割調停の申立てを行い,その後,比較的短期のうちに,ご依頼者様に納得していただけるような内容で調停の成立に至ることができました。
3 弁護士の目
遺産分割協議を成立させるためには,必ずすべての相続人の同意が必要になります。
相続人の範囲について,面識や交流のあるご家族,ご親族と一致していればいいのですが,本件のように,被相続人(亡くなった人)の生前には必ずしも把握していなかった相続人が,戸籍等の調査の結果,判明することもあります。一口に遺産分割と言っても,実際には,相続人の範囲や遺産の内容,分割方法については,専門的な知識が必要になることが多いです。
そうした場合に,当事者のみで遺産分割を進めることは非常な困難が伴いますので,相続人の範囲者所在について疑問がある方はお一人で悩まず,一度弁護士にご相談されることをお勧めします。
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