【解決事例】 交渉中に遺言がみつかった!! ケース
遺産分割に関する事例
交渉中に遺言が見つかったケース
事案の概要
依頼者の祖父が被相続人で,相手方は,被相続人の娘さんになります。
依頼者の祖父には,長男と長女の二人の子供がいましたが,長男は,先に亡くなっていたため,
代襲相続が発生しました。
(代襲相続とは … 被相続人が死亡する前に相続人である子や兄弟姉妹が死亡していた場合に,相続人に代わって,子が相続することです。)
例えば・・・
Bさんの父A氏が死亡
相続
Bさんも既に死亡
(あるいは、相続欠格 又は、相続排除に該当)
代襲相続
BさんにはCという子供がいる場合
Bさんの子供CがA氏の相続権を得る
長男には,二人の子供がいたため,依頼者の祖父からみて,長女と孫二人が相続人になりました。
被相続人が残した財産は,たったひとつの土地と建物しかなかったのですが,長女と長男の嫁が非常に折り合いが悪く,長男の嫁が憎いことからその子供である被相続人の孫のことも憎いようで,当事者間の遺産分割協議は交渉決裂したとのことでした。
事件処理
そうして,私が相手方である長女と交渉することになったのですが,交渉を進めていくと,
遺言があることが分かりました。そして,相手方が言うには,その遺言には,全ての財産を相
手方にあげると書いてあるとのことでした。
遺言は自筆証書遺言であり,裁判所での検認が必要なため,私も代理人として検認の手続きにたち会いました。
(自筆証書遺言とは … 遺言者がその全文,日付及び氏名を自署押印して作成する遺言のことです。)
(検認とは … 相続人に対し遺言の存在及びその内容を知らせるとともに,遺言書の形状,加除訂正の状態,日付,署名など検認の日現在における遺言書の内容を明確にして遺言書の偽造・変造を防止するための手続です。遺言の有効・無効を判断する手続ではありません。)
そうしたところ,確かに,相手方の言う通り,全ての財産を相手方にあげるという内容になっていました。
もっとも,仮にその遺言通りに執行されたとしても,孫が何ももらえないわけではなく,法律が用意した最低限の保証として遺留分という権利が残されています。
(遺留分とは … 一定範囲の相続人に対して,被相続人の財産の一定割合について相続権を保証する制度です。)。
しかし,遺留分であれば,法定相続分2分の1の半分である4分の1しか取得できません。また,
相手方は,不動産をもらっても困るという反応を示していました。
そこで,私は,すぐに売却できる先を探し,現金にすぐに変えることができることを説得材料に
本来取得 できる4分の1から少しでも上積みできないか交渉したところ,現金が即座に手に入るというお話しは相手方にとっても大変魅力的な話しだったようで,相手方に全部あげるという遺言があるにもかかわらず,法定相続分の2分の1をあげるという遺産分割を行うことができました。
結果
この事例を通じて,私が皆様方にお伝えしたいのは,相続人がお子様やお孫さんである場合,全財産をそのうちの一人に相続させるという遺言を作成しても,遺留分という権利が他の相続人にも残されているため,死後の紛争を防止できないということです。
死後の紛争を防止するためには,弁護士にご相談のうえ,遺留分を考慮した遺言を作成しておく必要があります。
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