遺言書をどうやって書けばよいかわかりません
Q 遺言書をどうやって書けばよいかわからない場合はどうしたらよいでしょうか?
A 確実な遺言書作成には公正証書遺言がオススメです。
遺言制度の趣旨
法律で相続人と相続分は決まっているのだから相続人間で争いになることはないのでは?と思われる方もいらっしゃるかもしれません。しかし、民法は、寄与分や特別受益という制度を用意しており、相続分はそれによって増減するかもしれませんし、相続税や登記との関係も考えなければなりません。
適切な遺言を書いておくことは、後に相続人間で争いが発生することを予防することにもつながりますし、また、余生を自分の亡くなった後の不安なく生きるためにも有用なものになります。
遺言を書くときのポイント
①相続財産となる財産の存否及び価値 ②推定相続人の相続分、遺留分の把握 ③相続分、遺留分に影響を及ぼす贈与等の存否 |
これらを正確に把握し、遺留分を侵害しない範囲で遺言を書く、という事が重要です。遺言の方式に関する点については、こちらをご覧ください。
いずれも、法律家の専門的な判断を必要とすることが多いといえます。
相談に至る経緯・事案の概要
Aさんには、配偶者であるBさんと子であるCさんとDさんがいました。Aさんは、高齢になった自分の面倒を良く見てくれているCさんになるべく多くの財産を残したいと思い、平成25年5月24日、弁護士に相談に行きました。
Aさんは、主な財産として、土地と建物(以下、本件不動産)、預金、現金を有していました(債務はなし)。後の調査の結果、本件不動産の時価は1800万円程度、預金は1200万円程度、現金は380万程度あることがわかり、本件不動産の価値は、数年の間、大きな変化はしないであろうと見込まれることが明らかになりました。また、遺留分計算の基礎となる財産額に変動をもたらすような贈与等もなかったことも分かりました。
弁護士は、公正証書により遺言を作成することを勧め、Aさんは公正証書遺言を書くことにしました。
具体的手続
まず、弁護士は、Aさんと話し合い、後の相続人間の争いを予防して、Aさんのニーズを最も充たせる遺言案を考えました。
法定相続分 | 遺留分 | |
B | 1 / 2 = 1,690万円 | × 1 / 2 = 845万円 |
C ・ D | 1 / 4 = 845万円 | × 1 / 2 = 422万円5,000円 |
Bさんに預金のうち900万円を、Dさんに残預金の300万円と現金のうち150万円を相続させ、Cさんにはその余の財産を全て相続させるという内容の遺言としました。
これはAさんと話し合い、後の相続人間の争いを予防して、Aさんのニーズをもっとも充たせる遺言案でした。
結果
以上、この事案では、Aさんが弁護士に相談してから、およそ1ヶ月でAさんの要望にかなった公正証書遺言が作成されました。
仮に、AさんがCさんには不動産ではなく現金や預金を相続させたいという要望を持っていた場合、不動産の処分を先行させて行うなどの措置が必要になりますので、この事案よりはもう少し時間がかかることになります。
遺言者の要望に合致するように、現在の財産関係を変更するというのも、適切な遺言を作成するために必要になる場合があるのです。
当該事件にかかった時間及び弁護士費用 |
H25年5月24日 相談 H25年7月 3日 公正証書遺言作成 合計 約1ヶ月 |
遺言作成 10万8,000円 + 公正証書費用実費
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