【解決事例】 弁護士の介入で、法定相続分に応じた遺産分割が成立した事例
事案の概要
ご依頼者様は,お父様がお亡くなりになられた後,法定相続人であるお母様,お兄様と遺産分割協議を行っていました。
しかし,お兄様は,長男である自分が不動産の大部分を取得するという遺産分割方法を主張し,協議は平行線となりました。
その後,お兄様は,相続税を申告するために,形式的に登記を移転登記するだけと言い,ご依頼者様とお母様の署名押印,印鑑証明書を取得し,全ての不動産の名義を自己の名義に移転しました。
その後,ご依頼者様は,お兄様に対して,法定相続分に応じた実質的な遺産分割を主張しましたが,時間だけが経過して,うまく交渉が進みませんでした。 そこで,ご依頼者様は,法定相続分に応じた遺産分割が行われるべく,当事務所を訪れました。
交渉・訴訟の経緯
当事務所の方針としては,ご依頼者様とお兄様との間で,不動産についての遺産分割協議書が締結されていたものの,不動産以外の預貯金や保険について何も記載されていなかったこと及び上記遺産分割協議書には,清算条項(遺産分割協議書で取り決めた遺産について,取り決めた分割方法以外には,今後お金のやりとりがないことを確認する条項)が入っていなかったことから,遺産分割協議は未だ未了であるから,お兄様が不動産を単独取得したというのであれば,その代償金の支払いを主張して,家庭裁判所に遺産分割調停を申し立てることにしました。
調停委員も当初は,遺産分割協議は既に終了しているというお兄様側の主張が正しいのではという心証を抱いているようでしたが,交渉の経緯や書面の内容について,粘り強く説明を重ねたところ,こちらの主張を理解してくれるようになりました。
その結果,一度,お兄様の単独取得となった不動産のうち,ご依頼者様の法定相続分相当の不動産をご依頼者様の名義に移転することなどを内容とする遺産分割調停が成立しました。
弁護士の目
本件において,すでに,ご依頼者様とお兄様との間で遺産分割協議書が交わされていたため,誰かに相談しても,諦めるよう言われることも多いと思います。
しかし,既に遺産分割協議書が交わされた後であっても,本件のように経緯や主張次第では,内容が覆ることもありますので,少しでも疑問を感じた場合には,諦めることなく,一度,弁護士に相談することをお勧めします。
ただし,一度,決まった内容を覆すことは例外的なことではありますので,少しでも内容に疑問を感じた場合には,できる限り,書面に署名押印する前に,弁護士にご相談いただければと思います。
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